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私たちの直感と自信過剰について(ダニエル・カーネマン『ファスト & スロー』)

今日は2002年に行動経済学でノーベル経済学賞を受賞したダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)の著作を中心に、行動経済学の重要な発見とその示唆を紹介していきます。

直感と自信過剰

(引用開始)

人々が自分の直感に対して抱く自信は、その妥当性の有効な指標とはなり得ない(中略)。言い換えれば、自分の判断は信頼に値すると熱心に説く輩は、自分も含めて絶対に信用するな、ということだ。

  • 十分に予見可能な規則性を備えた環境であること
  • 長期間にわたる訓練を通じてそうした規則性を学ぶ機会があること

この二つの条件をどちらも満たせるなら、直感はスキルとして習得できる可能性が高い。チェスは、規則性のある環境の代表例と言える。(中略)医師、看護師、運動選手、消防士が置かれる環境は、複雑ではあるが、基本的には秩序がある。(中略)これに対してファンドマネジャーや政治評論家が長期予想をする状況は、予測妥当性がゼロに等しい。彼らの予測がことごとく外れるのは、予測しようとする事象が基本的に予測不能であることを反映しているにすぎない

(引用終り)

本物のプロフェッショナルは、自分の知識の限界を十分に理解していて、不確実性や予測不可能性をきちんと理解していることが重要だと思います。何となく「大丈夫」とポジティブに思う気持ちは生きる上で大切ですが、同時に「現在良いから」「今後も良いはず」という楽観は、問題をすり替えている事に気づかなければなりません。

例えば人材採用や人事評価の際に、質問への受け答えや姿勢が良いから、今後任せる予定の仕事でも良いパフォーマンスになるはず、というのは、評価の尺度が変わってしまっている事に気づかなければならないわけです。

これらの問題のすり替え(ヒューリスティック;実は先述の「見たものがすべて」効果に起因し、複雑な問題ほど簡単な別の問題に置き換えられやすい)や妥当性の錯誤は、よく訓練されたプロフェッショナルでも簡単に陥ってしまいます。だから、何か重要な意思決定をする際は、チェックリストを使用したり(問題のすり替え予防)、会議の開始前に議題について自分なりの考えを必ずメモしておく(最初の発言者によるアンカリング効果の予防)、など様々なノイズとバイアスを外す努力が必要です

UnsplashのClay Banksが撮影した写真

自信過剰

①妥当性の錯覚ストーリーが首尾一貫してさえいれば、事実かどうかに関わらず、正しいと感じる)と、②「見たものがすべて」効果思い出しやすい事柄が過大に重要だと勘違いする効果で、例えば最近テロや自殺やイジメの報道が多いから、事実に関係なく増えていると感じる)が、自分の判断を正しいと思い込ませ、自信過剰になっていくそうです。自分の判断に自信を持っているときほど要注意です(自戒)。改めてマスコミが大衆心理の形成(というか誘導)に破壊的影響力があることがわかります(メディアの注意すべき点は拙投稿参考『何が民主主義を狂わせているのか;真犯人はマスメディアとフィルターバブルなのか』)。現代社会では情報収集の手段は多様化しましたが、それでも大抵の一次情報は独占・寡占されていることに注意したいところです。そして、自分自信の判断にも自信過剰に陥らないよう生きたいものです。

抗いがたい直感

これはおそらく長い進化の歴史の中で、システム1(早い思考:直感、スイッチ・オフできない)をシステム2(遅い思考:熟慮、同時に処理できる容量が限られている)に優先した方が、言い換えれば、直感を疑って判断を鈍らせるよりもシステム1に決断を委ねた方が生き残る確率が高かったからなのでしょう。

走行中の車で路上に転がる障害物を何かはっきり認識する前に避けるのはシステム1で、システム1の直感を後でチェックするのがシステム2です。システム2は怠け者で、システム1の直感をよくそのまま受容します。首尾一貫したストーリーを超速でこしらえ上げるのは、瞬発的な連想マシンを搭載しているシステム1で、ストーリーが首尾一貫していればいるほど、システム2が抗うことが難しく、システム1は結論に飛びつくマシンのように機能するそうです。

本書ではありませんが、ユヴァル・ノア・ハラリは矛盾した複数の事柄を同時に信奉できるのが、現生人類の素晴らしい才能だと語っていますが、実は一つのストーリーの中では首尾一貫している方が正しいと感じるのですね。そしてそのストーリーがどんなに馬鹿げていて事実に反していても、首尾一貫してさえいれば、信じることが出来る(事実に反する事柄や宗教やフィクションを生み出せる)。ハラリの主張から類推すれば、あるストーリーと別のストーリーとの間の矛盾は干渉しないのだと思います。

だから、一方で基本的人権の尊重と権利の平等を大切にしながら、他方で経済的利益のために他者の権利を蔑ろにする事を平気でやってのけ、非暴力の大切さを訴えながら、抑止力の大切さを脳の別の領域で理解するのでしょう。あるいは魔法の世界や異世界転生生活を夢想しながら、現実世界で器用に生きています。

さらに、システム2が決断を下す際にも、システム1が強力な影響を与えていることもわかっています。

人間の顔写真だけを見せて、その人の能力や好感度などを評価してもらい点数をつけさせる。学生たちは何も知らされていないが、実は実際の選挙を闘った政治家たちの顔で、なんと上・下院・州知事選挙で当選した人たちの約70%が、顔写真だけをみて「能力が高い」評価を得た人でした。米国だけでなく、その後フィンランド、メキシコやドイツ、イギリス、オーストラリアなどの地域でも同様の実験をし、同じ結果を得ているとのこと。これは恐るべき事実です。

論理的に考えれば、当然顔写真だけを見て「能力が高い」かどうか評価はできません。そのことをシステム2がきちんと理解しているにもかかわらず、相関関係が70%もあるという事は、何らかの過程でシステム1の直感的判断が強力に影響している可能性を示唆しています。

以上述べてきた通り、システム1の直感がこしらえたストーリーが首尾一貫していればいるほど、システム2が抗うのは容易ではありませんが、重要な意思決定をする際は、このことをきちんと考慮に入れる必要があります。例えば投資することが確定しそうな役員会議の場で、仮に「5年後に事業が失敗して撤退又は減損を余儀なくされる。その理由は何か」という頭の体操をしてみると、集団浅慮を回避できるかもしれません。

ちなみに著者のダニエル・カーネマンは行動経済学の功績で2002年にノーベル経済学賞を受賞しますが、本来は心理学者です。その後リチャード・セイラーも2017年に行動経済学でノーベル賞を受賞し、行動経済学だけで近年二回もノーベル賞が出るのはそれだけ重要領域になっているということです。伝統的経済学(いわゆるミクロ・マクロ)が限定合理性理論を無視し続けているのも、ある意味でこれまで膨大な時間を費やして発展させてきた合理的意思決定モデルを、破壊したくないという損失回避バイアスなんだと思います。

アンカリング効果とハロー効果を理解しよう

特にアンカリング効果はめちゃくちゃ強烈で、その道のプロフェッショナルの判断でさえ簡単に歪められるとのこと。これは危険ですね。ビジネスでも日常生活でも、きちんと意識して対策しないと重大な錯誤を生みます。

■アンカリング効果① いくら寄付しますか?1.あなたは〇〇での災害に1,000円以上寄付しますか?2.あなたは〇〇での災害に50,000円以上寄付しますか?⇒2の質問をした方が圧倒的に寄付金額の平均が上がる。

■アンカリング効果②

スーパーの特売 1.安売り商品おひとり様10個まで 2.安売り商品おひとり様制限なし⇒1の方が2より倍近い数購入される。

■アンカリング効果③

不動産の買値を決めてもらう1.売手の言い値が非常に高い2.売手の言い値が非常に安い⇒不動産の専門家にそれぞれ売手の言い値だけが違う資料を渡して買値を決めてもらうと、あら不思議。1.の方が圧倒的に高い。そして専門家は口々に売手が提示した価格など参考にしていないと言い張る。

■ハロー効果 政治家・芸能人が嫌い

本当はその人の政治思想や政策が気に入らないだけなのに、人物そのものや顔やしぐさまで全て嫌いになる現象。最近のジャニーズ外しも、全く別の領域で問題が生じているのに、イメージが毀損するとそれ以上に深刻な嫌悪に繋がる恐れがあるため企業がこぞって降板させている。

運と偶然性の軽視、相関関係と因果関係は違うのだ

自分が今まで読んだ本の中では結構大切にしていた『ビジョナリー・カンパニー』シリーズ(ジム・コリンズ)も超酷評されていて、目から鱗がボロボロ落ちました。これぞまさに相関関係と因果関係は違うのだ、という科学の根源に刺さる評論だと思います。

人間の脳は偶然性や運の重要性を軽視し過ぎる傾向にあり、どうしても成功した企業や人間の理由をつけたくなるが、実際はいずれのケースも偶然が重なって幸運だったこともまた事実なのです。

だからスタンフォードの博士課程にいた二人の技術者が高度な検索技術を駆使して会社を大きくしつつある中、百万ドルでバイアウトしようと検討した際に「高すぎる」と断られた偶然や、その他資金調達や競合との関係で様々な幸運がなければ今の巨人グーグルがないことは多くの人が無視するストーリーになってしまう。「ヒトラーは実は犬や小さな子どもたちが大好きだった」という事実は、冷徹無慈悲の人間像と首尾一貫しないから、簡単に無視され、一方で「ヒトラーは自らの側近にも冷酷無慈悲で片時も配慮することはなかった」という嘘のストーリー(本当は親衛隊にきめ細かく心を配り、誕生日祝いまでしていた)を信じたがるのです(ちなみにこの首尾一貫性を求めるシステム1の性質がハロー効果を生み出している)。

特に医師や経営者、政府や政治家など、誰かに変わって意思決定を行う人の判断については、その判断そのものの適切性よりも、様々なオペレーションや不測の事態の発生など偶然発生した結果が重視される傾向(判断が悪かったから結果も悪かったと思いたがる傾向)にあるのも、この首尾一貫バイアスのせいだと思われます。これは評価する側も注意する努力が必要だが、やはりどうしてその判断をしたかの説明や、なぜうまくいっていないか、あるいは不確実性についての事前の十分な説明などについて、やはりコミュニケーションが大切なのだと思います。自分もプロフェッショナルとして、冷静に課題に対処しつつ、その判断の過程やなぜそうしようとしているかなど、十分にわかりやすく説明することが大切だなあとつくづく感じました。

行動経済学は死んだのか

ここまでダニエル・カーネマン(Daniel Kahneman)を中心に行動経済学の示唆を紹介してきましたが、実は経済学を中心に極めて多岐にわたる社会科学の学者らから、痛烈な批判にさらされてきました。また、ウォルマートの行動科学のヘッドを務めているジェイソン・フレハ(Jason Hreha)という人物から、「行動経済学の死」と題された記事まで出されています。

批判の多くは、行動経済学の基礎となる様々な実験の重要な発見が、再現失敗となるケースが多い点や、そもそも実験自体の質問の建付けが誘導尋問のようなやり方に問題があるなど、たくさんの批判があります。重要な発見の多くが、限定的な環境下でそれが再現できるに過ぎないことが多いため、現実世界での応用はテクニックがいるし、ほぼ効果がないかもしれません。

ただし、こうした批判は正直社会科学のほぼ全ての分野にも当てはまる(何なら伝統的経済学の合理的意思決定モデルは完璧にフィクション)ものである事と、心理学の世界では、参照点(最初の心の中のポジションのようなもの)が重要で、そこからどれくらい乖離しているか・変化するかが重要な着眼点なので、同じ質問を別の人にしても全く異なる効果が出現する可能性が高い(つまり再現できない)のです。

なので、行動経済学の重要な発見が全く無価値というわけではなく、現実を見て活用できる部分は活用する、でよいのだと思います(記事の中でフレハはたった数%の効果しかないと批判していますが、十分有意な差だと思います)。まあ、ダニエル・カーネマンもユヴァル・ノア・ハラリも凄く刺激的で面白いけど、あまりにも他の領域を破壊しかねない、ともすれば遺伝子と神経が生み出すアルゴリズムがすべてを決定しているような錯覚に陥りがちになるので、異端視されているのにはやはり理由があるわけですね。

参考文献

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Corporate Finance Economy IMF WEO Market

これからの日本経済見通し(中短期)について;インフレと株高と

インフレ大爆発の予兆

ここ数日体調不良で家に籠っていたのですが、いろいろ考えて、日本でインフレが今後大爆発していく未来が見えました。某YouTubeチャンネルを拝聴して妙に納得しました。日銀の対応は遅きに失している可能性が高く、既にだいぶ前から手遅れだったかもしれません。あまりにも長期に渡って量的緩和をやりすぎて、もはや戻れない地点まで来てしまっている可能性があります。日本はデフレが長すぎてインフレの恐ろしさをみんな忘れ切っているけれど、、。

確かにコロナ禍やウクライナ侵略によるサプライチェーンの混乱(あと半導体の中国締め出しも)等からくるコストプッシュインフレと説明する人が多いです。しかし、これらもある程度落ち着いて平常を取り戻しつつある世界の中で、なぜ金利を上げまくっている米欧でインフレが大爆発を継続しているのか。全く止まりません。ディスインフレはまだまだ遠いでしょう。英欧はこのままスタグフレーションに突入する公算が大きいです。

今のインフレ率で米国が完全雇用に近づいている現状を見れば、安定2%という水準さえ見直されるかもしれません(もともと米国は雇用と物価と金利の密接な関係(フィリップス曲線)を利用して、低位安定した物価で最大の雇用を達成することを中銀政策の中枢に据えていて、2%は経験的に最も効率よく最大雇用を達成できるインフレ率だった)。
むしろ本当のインフレの原因は全世界の中央銀行と政府が実行した未曽有のスーパーばら撒きによる財政インフレなんでしょう。ということは、これが多少引き締め局面になったところで、既に撒かれたカネは家計に留まっていて、中銀のBSはまだまだ肥大したままで、市中のキャッシュは溢れたままです。インフレが全然収まらない米欧を観ればわかる通り、日本もこれから爆発して全然止まらない可能性が高いですね。人手不足が深刻で、賃上げして価格転嫁して、市中の資金が還流しはじめて、そこでコロナによる行動規制が緩和されて消費が大爆発する。既に日本の高級ホテルなんかも見たことない価格になっていますが、それでも客が入る。価格の上昇は継続していくのでしょう。

そしてインフレ(厳密には期待インフレの上昇)になれば、現金から逃避して現物(商品)や不動産や金融商品に流れ、株高になる。ちなみにこの動きが加速して過熱して収まらなくなると、それこそが正にバブルとなります。とどまることを知らない資産価格の上昇のスパイラルが、最終的に総量規制という劇薬で弾け飛んだのが正に日本のバブル崩壊でした。

コロナ禍はバブルだったのか?

コロナ禍では世界中のリスクフリーレート(RF)が極限まで下落したため、将来キャッシュフロー(将来CF;それが株ならば、将来の企業業績)は減少しているのにフェアバリュー(FV*)が増加する不思議な現象が発生していました(当時監査で相当専門家と議論しましたが、ERPは短期間に急激に変化しないという前提からRFが低下すれば割引率も低下する、ということらしい)。

*FVは、将来CFを割引率で現在価値に割戻した価値の合計で算定されます。超ラフに言えば割引率はRFとリスクプレミアム(主なリスクは、企業ならERPと呼ばれる)の足算。FVは将来CFと割引率の二つが決めていて、将来CFが増えればFV増、割引率が低下すればFV増。

つまり将来の不確実なCF(しかもコロナ禍に突入したばかりの頃は本当に全く見通しが立たなかった企業も多かったはず)の多寡よりも、いま目の前で確実に算定できる割引率の方が遥かに影響が大きかったということ。株価はそのため当然プラスで、誰かがバブルだとか騒いでいたけど、FVの上昇に伴うものなので、全くバブルではありませんでした。むしろいま日本でもRFが上昇する中で、株価が上昇するのは異常なのだけど、そもそもPBR・PERが異常に低かった日本の株価がFVじゃなかった説(これがジャパンディスカウントか)。冷静に考えて、PBR1倍割れ(解散して株主にお金返した方が株主に有利)が当たり前の日本企業とか意味不明だからね。また、インフレと円安継続で輸出産業にプラス・かつ大部分国内消費で食っている日本企業のCF(企業業績)が相当良くなるため、むしろ微々たるRFの上昇よりもCF改善が貢献するのでしょうか。それがバフェット氏が日本株に投資した真意なのかもしれません。そして現物、特にコモディティをふんだんに取り扱う商社株なんだと、そういうことでしょうか。

世界のインフレとの闘い

IMFも長期化するインフレとの闘いを世界の主要なリスクの一つに数えています。「世界経済のコロナ禍からの回復は鈍化し、セクター・地域によって回復ペースにばらつきが拡がっている」(The global recovery is slowing amid widening divergences among economic sectors and regions)様相を呈しています。

世界では、トルコは一昨年から超インフレ状態で、アルゼンチンでも超インフレ発生、集団強盗の多発など社会は混迷を極めています。中国も(おそらく)不動産がバブル崩壊し、異常な社会環境になっているはずですが、彼の国は正確な情報が出てこないので不透明です。一方、欧米もインフレが高進していますが、逆イールドが300日を超えて発生している米国も、おそらく今後極めて高い確率でリセッション(不況期)に突入し、既に述べた通り英欧もスタグフレーション(不況期かつインフレ)に突入していきます。

東証のマーケット再編~インフレと株高と

今後日本もおそらくインフレに苦しむが、ここからどのように不況に突入せず軟着陸できるか、中央銀行と政府の手腕が問われています。本日三連休初日ですが、いつも自分が車を止めている駐車場はほぼ全ての車が出払っています。正直こんなに車がないのを初めてみました。これが消費の爆発。コロナ禍で遊べなかった分の反動が強烈なパワーで押し寄せてきています。皆口ではガソリンの高騰で苦しんでいると言っておいて、実はそんなことなんかお構いなしに遊び回っています。

日本だけが、先進国で唯一ゼロ金利とイールドカーブ・コントロール(YCCは世界で唯一)を継続しています。これが未来永劫変わらないわけがない。植田総裁も前回の会見で、引き締め局面に移る可能性をじわり示唆しています。また、先般の東証のマーケット再編で、一部・二部・マザーズはプライム・スタンダード・グロースになりましたが、ただ名前を変えただけではありません。時価総額や流通株式数などの厳格な基準を設けて、それを3年以内に満たさない企業は、降格か最悪上場廃止になります。今まで株価を一ミリも気にしてこなかった日本のエリートサラリーマン社長たちが、上場維持のため、必死こいて株高政策を打ち始めます。余りまくっている資金を利用して自社株買いに邁進するか、配当増やすか、投資を増やします。しかも賃上げと価格転嫁が求められ、いままでずーーーぅっと、値上げせずに耐え、リスクを下請けに押し付け、賃金減らし、投資減らし、デフレマインド経営を続けてきた企業経営者が、完璧にインフレマインド経営をぜざるを得ない環境に追い込まれています。

問題はこの環境が持続するかどうかですね。とりあえずこのストーリーならインフレと株高が高進するしかない。やはりメインシナリオはこれですね。

【参考】

IMF『WEO Update JULY 2023』

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Education FX Investment Market

これから投資を始める人たちへ~横行する無登録営業、違法な金融商品の投資助言等に要注意~

最近、すごく多いような気がするのは自分だけでしょうか?投資系YouTuberとかをフォローしていると、「絶対儲かる」とか「リスクゼロで毎日〇〇万円」みたいな、怪しい広告やオススメ動画が表示されるようになりました。

「絶対儲かる」や「リスクゼロ」は必ず詐欺ですので、注意してください。「レターパックで金を送れは全て詐欺」くらいのレベルで必ず詐欺です!!

内閣総理大臣の登録が必要

金融商品の投資助業等は金融商品取引法によって、内閣総理大臣への届け出と登録が必要です(金商法29条)。ただし、新聞、雑誌、書籍その他不特定多数の者に販売することを目的として発行されるもので、不特定多数の者により随時に購入可能なものを除くので、YouTubeやブログで投資判断等を公開しているだけならセーフな可能性が高いです。

一方、無登録で特定の人向けに個別のセミナーや勉強会をやり始めたり、システムトレード等を売買してたら金商法違反の恐れがあります。怪しいのをみかけたら、まずは内閣総理大臣(実際は内閣府金融庁>〇〇財務局による登録)の登録番号を確認するようにしてください。関東圏であれば、例えば「投資助言・代理業 関東財務局長(金商)第〇〇号」みたいな表示があるはずです。

無登録営業は違法行為

無登録営業を行った場合、五年以下の懲役もしくは五百万円以下の罰金、又はその両方が科されます金商法第197条の2)。また、無登録で金融商品取引業を行うものとして、金融庁のホームページで公開され、金融機関等の反社会的勢力のリストや信用情報機関のリストに「反社会的勢力」として登録されます。無登録営業で公表された場合には、法人の口座を強制閉鎖されたり、代表者の金融機関の個人口座も開設できなくなったり、住宅ローンを借りることもできなくなり、賃貸住宅すら審査で拒否される可能性もあります。社会的に経済活動から事実上排除されることになります。悪質な業者は金融庁へ通報しましょう。

無登録の投資助言は犯罪行為であり、安易な他人への投資助言は自分の社会的な死を招く恐れがありますので、皆さんにおかれましてもくれぐれもご留意くださいませ。

自分で自分を守るために

私自身も勉強と情報収集がてら、いろいろな方々のブログやYouTubeを拝見しているのですが、たしかに参考になる有益なものも多数あります。ただし、その中には人を惹きつける力がある巧みな話術で、パワーワードを多用し明らかに合理性の怪しい分析を「必ず勝てる」などと断言し、そして最終的には勉強会などへ勧誘をしてくるものもあります。

私自身も、騙されないまでも、そうした分析に何か意味があるものかと、かなり真剣に時間を使って検討したこともあります。結局根拠は不明であり、参考程度にはするが実際の自分のトレードにはほとんど採用しませんでした。私はファンダメンタルズ重視のスイングトレードが中心なので、もともとあまりテクニカル分析を採用しないというのもありますが。

なお、必ずしも違法行為ではなくても、いろいろな情報発信者の相場予想は人によって大きく異なります。全く同じ事象でも、例えば金の「上昇要因」だという人もいれば、「下落要因」だと分析する人もいます。結局のところ、彼ら彼女らが言っていることや分析が間違っているとか正しいということではなく、一番問題なのは「他人の助言に依存」する事だと思います。

前回のブログでも書きましたが、やはり大切な事は、自分の取引スタイルを確立することであり、「他人と同じことをしない」ことです。他人に依存せず、自分自身の頭で考え判断する事、それが最終的に自分を守る要諦なんだと思います。皆さんも安全な投資ライフをお送りください。

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FX Investment Market

FX初心者が1年間相場で生き残ったはなし;1年で証拠金約3倍

最近コロナ禍の影響もあり、すごく増えている資産運用のはなし、皆さんは何をしていますか?私は最近まで監査法人で働いていたためインサイダー規制の関係上、株式投資が自由にできなかったため、FXをメインにやってみました(その他、コモディティ・貴金属等も少々)。今回はFX完全初心者から初めて約1年間運用した損益をまとめてみようと思います。

決して怪しい勧誘やポジション・トークではありませんので、敢えて使用しているツールの紹介や証券会社の紹介等は一切しませんので、あらかじめご容赦ください。誰からもお金はもらっていません。また、当然に金融庁の許可もありませんし、いまだ自分自身ド素人ですので投資アドバイスなんぞ全くできませんので、それもご了承ください。何より大切な事は、投資は自己責任ということです。

この記事を書こうと思ったきっかけは、FXをはじめ投資関係のブログや動画では中立的な記事がほとんどないという悲しい現実です。そして何とか中立的なポジション・トークでない、生の初心者の声を聴きたいと思い、「FX初心者」というキーワードで検索したときの絶望感でした。FX関係の記事のライターや動画配信者の多くは、証券会社などからお金をもらってコンテンツを制作している人たちなんです。当サイトを立ち上げた想いである、世界の情報のフィルタリングや歪曲に負けず、まともな情報を発信する目標とも通底しています。

全般的には非常に好調な運用成績で、満足のいく結果でした。いろいろと失敗もあり学ぶことも多かったので、その中で試行錯誤しながら構築した私の取引アプローチを概説していきます。皆さんも最近始められたりして、いろいろと迷っている事や不安な事もあるかもしれませんが、何かの参考になればと思います。

運用成績

まずは実績が大事ですので、私の運用成績を以下グラフにしてみました。運用成績は約1年3か月ほどでほぼ+200%(残高3倍増)を達成しています。

2020年3月から口座開設して、直近2021年5月24日現在までの取引残高の推移(全部で2,665件の取引)をグラフにしました。証拠金の入出金が結構あるのでわかりにくいですが、追証をくらって追加入金しなければいけなかったのは、382取引目のみで、他は全て実際の資金需要による自分の他の口座との資金移動です。

口座残高(緑色の線)から証拠金金額(青色の線:入金した元手合計)を差し引いた額が純粋に取引による損益(及びスワップポイント)ですが、見ていただければわかる通り、目立ったドローダウンがあったのは1,900あたりから2,200取引目あたり(2021年4月頃)のみで、それ以外は基本的に増加傾向にありました。

口座残高の推移
取引損益の月次推移

取引結果の分析

ここでは、自分の取引結果を振り返って分析していきたいと思います。一人の初心者トレーダーが、FXのいろはを学んでいった道筋ですので、これから始めようと思われている方は、是非参考にしてください。私の中でこの約1年間は大きく分けて四つの時期に区切ることができると思います。

  1. レバレッジの恐ろしさと追証の悲しみを学んだ黎明期
  2. 新興国通貨で一攫千金を狙う
  3. 損切りを練習するも無残に失敗
  4. 安定こつこつ取引に(結局これが最強)

1.レバレッジの恐ろしさと追証の悲しみを学んだ黎明期

■自分なりのスタイルの確立

FXを始めた当初は本当に右も左もわからない超初心者で、何を知らないといけないのかもわからないなりに、いろいろと勉強しました。為替の理論的な本を読んだり、YouTube配信者の分析を観たり、様々な証券会社等の記事やメルマガを読んだり、分析ツールを使ってみたり、とにかくいろいろ触れてFXという世界を身近にしました。また、私は走りながら勉強するタイプなので、実際に勉強を始める直前くらいにFX口座を開設し、初めの証拠金を投入し、オーダーを出してみました。

とある専業トレーダーが言っていましたが、初心者が取引を学ぶのに良いアプローチとして、初めのうちは①通貨ペアを限定、かつ②ロングショートのいずれか一方向に限定する、等で膨大にある選択肢を限定することができ、取引の感覚やイメージをつかみ自分のスタイルを確立していくのに最適とのことでした。実はこの「自分のスタイルを確立すること」が、最初の重要な目標の一つです。よくプロトレーダーの世界では「他人と同じことをするな」と口酸っぱく言われるそうですが、人それぞれ思考のクセがあること、得手不得手の領域がそれぞれ異なるため、ロングが得意な人もいれば、ショーターもいて、スキャルピングがうまい人もいます。いまや世界にはインターネットを通じて膨大な量の情報があふれかえっていて、その一つとってみても、人によって相場への影響の分析結果が異なってきます。人によってトレーディングの時間軸が異なるため、数週間~数か月の長期スパンで考えている人と、数時間~数日で利益をだそうと考えている人では見えてくる景色は全く異なることは容易に想像つくと思います。

なお、自分はたまたまNZに駐在していたこともあり、コロナショック後はNZDが必ず上昇するという強いビジョンがあったため、自然とNZD/JPYのロングに限定されていました。実際にこれのおかげで、FX取引のいろはを学んだと思いますし、いままでの累積でも一番収益を上げたペアはいまだにNZD/JPYです。ちなみに私はポジポジ病には全くなりませんでした。

■取引ルールを学ぶ

また、初めのうちは証拠金のシステムやオーダーシステムなどもちゃんと理解できていなかった(理論的にはわかっていたんですが、身に染みてわかっていなかった)ため、結構恐ろしい思いもしました。そんなことをしている中で、素人が良くやりがちな、恐怖の『追証』をくらってしまいます。

私も出来ていなかった自戒を込めて、本当は超絶当たり前な事なんですが、まず初めに学習するべきは、取引ルールそのものです。特に現代の先進国通貨ではレバレッジをかけないと基本的にお話にならないため、やはりレバレッジをかけるのですが、正しいレバレッジの使い方を学ばないといけません。これは単純な算数の世界なんですが、ヒートアップすると簡単に忘れます。とにかく肝に銘じて徹底すべきことは、証拠金いっぱいにレバレッジをかけて行う取引は何があっても絶対にやらないことです。それはもう投資ではなくただのギャンブルだからです。これを守らないと、いつか必ず追証をくらい、最悪の場合強制退場となり、大変痛い目を見ることになります。そしてその結果、おそらくもう二度とFXをやらなくなってしまうと思います。取引所の取引ルールではなく、自分ルールとして徹底すべきであること、収益を上げる事よりも、市場に生き残ることが何よりも優先すべき重要な目標なのです。

以上をまとめると

  • 自分なりの取引スタイルの確立
  • 取引ルールを身をもって学ぶ
  • 証拠金いっぱいのレバレッジ取引は何があっても絶対にやらない
  • 相場に生き残ることが最優先課題

2.新興国通貨で一攫千金を狙う

FXに慣れてくると、先進国通貨のクロス円ドルストレートから、新興国通貨や特殊な通貨ペアなどに目が行くようになります。私も新興国通貨三兄弟の南アランド、トルコリラ、メキシコペソに手を出しました。

これはたまたまですが、自分が観ていたとある動画配信者の方のチャンネルで新興国通貨の買い時が説かれていて、このおかげで最高の成績を上げました。グラフの1,400から1,600取引目付近で急激に残高が伸びているのは、この新興国通貨による取引益のおかげです。

一攫千金といっても当然1.で学んだ通り、証拠金いっぱいに買ったりはもう絶対にしません。それでも新興国通貨はボラティリティが高いため、大きな損益が発生します。直近ではトルコリラが中銀総裁の突然の更迭などにより、大幅な下落(この時はノーポジで命拾いしました)があり、その後も下値をじりじり押し下げてコロナショック時の水準まで迫ろうかとしていますが、やはりそういうショック相場が起こりやすいのが、新興国通貨ですね。

なお、記事を書いている現在ではペソとランドの方は高値圏で推移していて、なかなか買うチャンスがない状況です。ちなみに自分ルールですが、新興国通貨はスワップポイントがエグいので、基本的にショートしません新興国通貨は買うチャンス(安値)までじっくり待って、しっかり買うのをオススメします。

以上、新興国通貨のポイントをまとめると

  • 証拠金いっぱいの取引は絶対にしない
  • 基本的にロングのみでショートはしない
  • 買うチャンスをじっくり待つ

3.損切りを練習するも無残に失敗

私はこの1年間、「損切り」を一切しない取引スタイルでしたが、それはとてつもなく運が良かっただけだと思いました。さすがに残高も増えてきたので、そろそろリスク管理のために「損切り」を学ぶべき時が来た(!?)と自分では思ったんです。

損切りラインをどう設定するか等、いろいろな投資系の動画やメルマガをみて、証券会社のレポートやコラムなんかでも勉強しました。それで、次のオーダーから損切り・利確も一緒に合わせてオーダーするぞ、とやってみたんです。

ちょうど2021年4月のユーロ円がレンジで変な上下をしていた時期と重なります。単純に私の損切り幅の設定が悪かっただけなんですが、損切り・利確オーダーは悉く失敗し、レンジの往復ビンタをくらい、結果的に実現しなくても良かった大きな損失をたくさん出してしまいました。かなり嫌な思いをしたので、もうたぶん損切りの練習はしません。

むしろリスク管理で学ぶべきは通貨オプションだと思っていて、最近勉強しています。オプション(間違ってもバイナリーオプションじゃありませんよ!まじでしょうもない日本の証券会社に騙されないで!!)については、ちゃんと勉強してからまた改めて記事を書こうと思います。

損切りラインを引かずにヘッジもせずにやっていたら、リスクは無限大じゃないか、とお叱りを受けるかもしれません。取り急ぎ申し入れるとリスクは無限大ではありません。単純に持っているポジションの通貨量と変動率がリスクの総量なわけで、例えば米ドルがゼロ円やマイナス円になる世界は、この先どんなことがあっても、私が生きているうちは絶対にみることはないと思います。さらに時間軸を考慮にいれれば、例えばトヨタが1年以内に倒産する確率は限りなくゼロに近いと思います。法律で自由な殺人や窃盗を認めるような先進国も、私が生きているうちは出てこないでしょう。

実際に社会の変化として「起こりうる範囲」というのは、かなり限定されていて社会科学の世界ではそれを「経路依存性」で説明してみたり、あるいは「可能性の地平」などと呼称するわけです。ちなみに全然関係ありませんが、その経路依存性の縁のギリギリを歩んで社会を変革していくことができるのが、優れた政治家だと言われています(Perヘンリー・キッシンジャー)。

話が逸れましたが、何が言いたいかというと、リスクというのは無限大ではないことと、もう一つ言えるのはどうやってもゼロにすることはできないので、最終的にどこまでのリスクを許容するか、というポリシーの話になります。そして、リスクは発生可能性×影響額なので、例えばですが、米ドルがゼロ円になる確率よりも、自分が突然いま死んでトレーディングができなくなる可能性の方が高いわけで、そんなことを考慮に入れていたら、何もできなくなってしまいます。なので、起こりうる範囲の中で、最悪の事態を考えて想定していくことになるわけです。

さて、リスク無限大とゼロを否定するのにかなり文字数を割いてしまいましたが、そうすると、トレーディングのリスクシナリオはおのずと過去に起きた最悪の事態を分析していくことになります。マーケットでいえば、リーマンショックやコロナショック、アジア通貨危機、さかのぼればオイルショックやブラックマンデーなどもあります。(いちおう、敢えてより保守的なことを言えば、過去のショックや私たちの想像をはるかに超えるようなことも、起こる可能性はもちろんゼロではないので、常に可能な限り保守的なポジションをとることを推奨します。)

つまるところ、いまの自分のリスク管理としては、何かの通貨をロングでエントリーするとき、どんなに暴落しても証拠金を吹っ飛ばすことがない量のトレーディングを基本とする、というのが最大の原則となっているかと思っています。

以上をまとめると

  • 大半のトレーダーが提唱している損切りの話は、リスク管理をする上では重要だと認識してはいる
  • 利確・損切りラインを学ぶにはコスト大きく、自分はうまくいかなかった
  • とはいえリスク管理は必要なので、最低限のリスク管理として証拠金管理(レバレッジ管理)をしている
  • リスクヘッジのため通貨オプションを活用しようともくろんでいる

4.安定こつこつ取引に

結局これが一番ですね。

この時期の残高が漸進的に増加しているのがわかると思いますが、毎日こつこつ少しずつ利益を出しています。新興国通貨を長期保有してスワップポイントをもらいながら、日々のトレードでちょっとずつ利益を出しています。

いろいろやりましたが、レバレッジは最低限にし、毎日ちょっとずつ利益を確定していくのが、結局は最強だということに行きつきました。そしてどんな通貨でも、エントリーのタイミングを根気強く待ち、自分のイメージと違う値動きならエントリーしない、あるいはエントリーしてしまったなら、それこそ傷口が小さいうちにすぐに損切りをします。

基本的に損切りをしないスタイルですが、明らかに失敗したと思ったエントリーは損が小さいうちに切るか、同値撤退くらいにはします。早期の損切りに失敗して含み損を抱えてしまったときは、他の取引で出た含み益と相殺して確証的に消去します。なお、損切りをしない、というのは本来的にはあまり良くないと思うので、真似しないでください。

成功と失敗の振り返り

これまでの取引の中で、成功した要因を要約すると、以下になります。そして失敗取引はこれらの全て裏返しでした。

  • 根拠の強いエントリーは疑わず、容易に撤退せず継続する
  • 根拠の弱いエントリーは、相場の様子を見て否定されたときは迷わず損が小さいうちに撤退する
  • 【重要】ポジションは一気に取らず、一気に切らず、徐々に作る(例えば20pips毎に5万ドルとか10万ドルずつなどの指値を入れて)
  • 【重要】含み益はこまめに利確し、再エントリーする
  • 早期の損切りに失敗した含み損は他の含み益と相殺してゼロ付近になったときにのみ確証的に消去し、ポジションを縮小していく(これを可能にするのが、上記のポジションを一気に取らない戦略)
  • ファンダメンタルズの材料があまりないときはエントリーしない
  • うまくいかないときは相場からいったん離れる(物理)

私の取引スタイルについて

■スイングトレード×ファンダメンタルズ重視

これも結局後から振り返ってみないとわからないことなのですが、結果的に実は早くから自分の取引スタイルが確立されていました。振り返ってみると、自分が継続的にちゃんと利益を出せていた取引はスイングトレード(1日内で取引を終えるデイトレードよりは長い、数日~数週間を取引単位とする)を中心とした、ファンダメンタルズ重視の戦略でした。

私は為替相場の理論的な仕組み(金利差や資本フローのはなし)を勉強した上で、実際の取引を始めたので、やはりファンダメンタルズ的思考がかなりありました。トレーダーの中には、ファンダメンタルズは市場に瞬時に織り込まれてしまうため、結局テクニカルの方が重要なんだという方もいますが、私はいずれも重要だと思います。

むしろ個人的には、テクニカル分析はあまり論理的でないので好きじゃないというのと、100人がそれぞれ異なる分析(皆が「他人と同じことをするな」と教わるので、歴戦の猛者たちはテクニカル指標のパラメータや使い方を少しずついじっている)を行う中で、経験値の浅い私がテクニカル分析だけで他の人に勝てる気がしなかったため、テクニカルは自分のトレードの中では実はほとんど採用していません

ちょうどコロナショック期にトレードを始めたこともあり、世界的に歴史上類のない規模での金融緩和が続き、株式市場の急激な下落とV字回復を目の当たりにしました。これらの大きなトレンドについては、実はちゃんと理論的に説明がつくため、相場の方向性や予測をする上では、非常に重要なことだと思っています。この理論的裏付けがあるからこそ、例えば暴落する際の具体的なリスクシナリオ(例えば市場に織り込まれていないテールリスクは、米中戦争勃発、ミャンマーの紛争がベトナム戦争のような事態に発展する、イスラエル・パレスチナが中東戦争に発展する等々)を考えることができて、そういうことがないので、今の落ちはただのテクニカルあるいはアノマリーで、必ずどこかで止まるということが予測できます。

なお、中国の規制やイーロンマスク発言によって暴落した暗号資産は記憶に新しいですが、こうした規制一つで簡単に相場がショックを起こしてしまうのが、暗号資産の弱いところですね。通貨であんなことは政治的な極限状態が起こらない限りは基本的に起こらないのではないかと思います(トルコリラとかは今の情勢から若干怪しいですが、ちょうど今日また副総裁が解任されましたね、、。)。

今後の取引の方向性

最近はコモディティ、貴金属、非鉄金属などの商品や、指標CFDもちょこっと始めてみましたが、1年間FXで慣れてしまった今の自分にとってはこれらの方がギャンブル的で少し怖いです。まあ、偏見でしょうけど。また、足元で大変な大暴落していますが、ビットコイン等の暗号資産はやりません、1日で50%下落とかまじ泡吹いて倒れるわ。

そう、結局どんな投資でもそうですが、最終的に一番重要になってくるのはリスク管理です(会計士なのに金融商品のリスク管理ガバガバとかしゃれにならんw)。これについては、前項の3.でも少し触れた通り、通貨オプション取引の活用を考えています。そのままだとリスクが非常に大きいFX取引を低コストでリスクヘッジするにはオプションが最適ではないかと思っています。今勉強中(金融工学頭痛い、、)ですので、実際に口座開設できて、取引できたらまた改めて記事を書こうと思いますので、乞うご期待です!

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日経続落(Nikkei continued to fall)

昨日に続き、世界の株式市場は軟調で、特に日経は本日も2%近く下げ、二日で5%近くの大幅な下げでした。

World stock market was weak and rather weaker Nikkei that continued to fall today by about 2% and around 5% drop comparing to two days ago.

Linkは下記。左の画像は2021.5.13.00:25時点の切り抜きです。

https://sekai-kabuka.com/

日経は今までの株高の調整もあると思いますが、主要国市場よりも大幅な下落です。日本円も非常に弱いので、やはりコロナワクチン接種の遅れが、主因ではないかと思います。

The larger decrease in Nikkei than world market seems due to the delayed vaccination for COVID-19.

2021年4月26日時点で、日本のワクチン接種比率は人口のわずか1.64%で、先進国では既に英国が50%に迫り、米国も40%を超えています。あの感染大爆発を起こしているインドさえ8.7%接種していて、途上国や低所得国もはるかに下回る水準となっているのが、残念ながら我が国日本でございます。

Japanese vaccination rate is only 1.64% comparing to 50% in the UK, 40% in the US and even below India of 8.7% (as of 26 Apr 2021).

https://ourworldindata.org/covid-vaccinations

少し本題から逸れましたが、前の動画でもご説明した通り、今後の経済回復予測における最大のリスク要因はワクチンの接種スピードです。

Back to the subject the main risk factors in the economic recovery is the race between virus and vaccination that I mentioned in the previous YouTube movie.

つまり日本経済はいまIMFのシナリオから下振れしつつある状況で、日経が調整に入ったのではないかと思います。そして調達通貨(金利があげられない円で借りて、次に金利が上がりそうな外貨を買う、つまり円売り)としての需要の呼び水となっているのではないかと思われます。

Then, I guess this drop is triggered by the belated vaccination in Japan, which seems to fall behind the main scenario in the IMF WEO update Apr 2021.