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今回は私が普段監査の世界を通じて触れている最も恐ろしいリスクである企業不正をテーマにしました。
主に一般社団法人日本公認不正検査士協会(以降ACFEと呼称します)による不正に関するレポートを中心に、不正の理論的な特徴と実際の犯行形態や被害額、発見方法などの実態を把握していきながら、今般のコロナ禍で留意すべきこと、リスクマネジメントの手法に至るまでご説明いたします。
企業不正の実態について
企業不正は繰り返され、法規制等も強化されてきましたが、不正は依然として増加しています。上場企業における不正発生割合は全体の1/4に上り、資産の横領、不正な財務報告は後を絶ちません。
財務諸表不正による損害額は他の不正類型に比べて多額で、大規模組織に比べて小規模組織の損害額は約2倍です
85%の不正犯行者は、不正実行中に少なくとも一つは行動に兆候が表れるとされています
不正は通報による発見が最も多く、早期発見によって被害額を少なくするためにも、通報制度の整備が非常に重要です
不正の顛末は、実行者・被害組織共にたいてい悲惨な結末となります
コロナ禍で留意すべきこと
一般経済環境の悪化とそれに伴う業績の悪化は、経営上の目標達成のための動機・プレッシャーを高めます
通常の内部統制が実施できないことは不正の機会を増大させる恐れがあります
不正対策の専門家たちは、不正の発生頻度はさらに増えると予測しています
リスクマネジメントと内部統制
内部通報制度の整備や不正防止ポリシーの制定、不正防止の研修等は多くの企業が取り組んでいます
不正を実行する「動機・プレッシャー」は、適正な財務規律の維持、状況に応じた目標の見直し、適切な投資家・債権者・従業員等とのコミュニケーションが重要です
不正を実行する「姿勢・正当化」は、全社統制を整備・運用することで低減することができます
不正を実行する「機会」は、内部統制を整備・運用することで低減することができます
【参考文献】
・デロイトトーマツ 『企業の不正リスク調査白書 Japan Fraud Survey』(2018-2020及び2020-2022 一部抜粋版)
・デロイトトーマツ 『企業の不正リスク実態調査 Japan Fraud Survey 2016』
・一般社団法人日本公認不正検査士協会 『職業上の不正と濫用に関する国民への報告書 (日本語版)』(2018年版、2020年版)
・一般社団法人日本公認不正検査士協会 『不正に対する新型コロナウイルスの影響 ベンチマーク レポート (評価報告書)』(2020年12月版)
・一般社団法人日本公認不正検査士協会 『Fraud Risk Management Guide – Exective Summary 日本語翻訳版』
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