Future economic growth and the Theory of Justice, Rawls
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『これからの経済成長と正義について』、という何ともいかめしいタイトルでお送りします。それなりに資料も使って作成していますので、これまでとこれからの経済的社会的潮流を予想する上で参考になるかと思います。以下は動画の概要です。
『。新成長戦略』とこれまでの経済
2020年で経済至上主義の時代は終わりました。新自由主義を乗り越えるべく、私たちは新たな時代の価値観と経済成長観に対応していかなければなりません。
- 2020年11月7、経団連はこれまでの行き過ぎた新自由主義を乗り越えるべく、 持続可能な成長を目標とした『。新成長戦略』を発表しました
- 「新自由主義」は1970年代の時代の要請から市場原理への回帰として現れました
- 現代の社会は、各国レベルでもグローバルレベルでも行き詰まりを見せています
ではなぜ行き詰まりを見せているのでしょうか?
そう、そこには「哲学」がありませんでした。
- 「新自由主義」はあくまで経済学の一学派でしかありません。
- 経済学は長期の経済成長を実現したため、社会科学の王者のごとき地位を占め君臨してきました。
- 同時にこの時期は、社会学的にいえば1968年を起点とする後期近代の幕開けと、功利主義の挫折を中心とする道徳哲学・倫理学の低迷の時代でした。
ロールズの正義論と「望ましさ」の探求
後期近代は何が「望ましい」のかわからずに突き進んできました。大切なことは、「どうやって望ましさを実現するか」という方法論ではなく、「何が望ましいか」という問いかけです。
- 「新自由主義」には、「社会のあるべき姿」や「望ましさ」への問いはありませんでした。
- 望ましい社会状態への問いは保留のまま、物質的資本主義的な発展を遂げていくことになりました。
- 自生的秩序は自生的であるが故に「良いものだ」とする判断は、その状態が望ましいかどうかについての反省的回路を欠いている、という点で極めて重大な欠陥があります。
- 「望ましさ」に対する問いは経済学にはないので、例えば「経済成長しているのだから、新自由主義は望ましいのである(経済成長=望ましい社会状態)」という論理になってしまいますが、そこには「なぜそれが望ましいのか」という思考がありません。
- いま、世界では環境破壊と経済格差の問題だけでなく(おそらくいずれの問題もこれらと密接に関係しているが)、深刻な課題を無数に抱えていて、閉塞感が時代の気分になりつつあります。
- 「望ましさ」への問いを新たにし、人類が囚われている運命の袋小路を乗り超える叡智が、21世紀を生きる私たちには求められています。
規範的社会理論の長いまどろみを破ったのはジョン・ロールズの『正義論』(1971)でした
- 新自由主義を正当化するトリクルダウン理論などと親和的な哲学である功利主義が挫折(アローの不可能性定理、1951年)して久しいにも拘らず、主に経済学の専門家たちによってさまざまな理論装置を用いた「社会的望ましさ」へのアプローチが見られました。
- 従来的な知的権威が信用を失墜し、新たな価値観が希求されている時代に、哲学の立場からはほとんど何らの取組もなされませんでした。
- 「社会の望ましさ」の概念を、諸個人が社会からどのような効用(善)を受け取るかという問題のレベルからいったん切り離したところに設定し、社会の道徳性を表す価値としての「正義」を定立しました。
- 「最大多数の最大幸福」というスローガンで見過ごされていた個人の利益分布の不平等に配慮し、利益がどのように分配されるかについて、適切な取り決めを正義は求めます。
- 協働の体系を持ったアソシエーションとしての社会では、人々の出入りは基本的に自由であり、人々がそこに参加するのは、「社会的協働」がすべての人々に、一人で生活する場合よりも良い生活をもたらすことができるからです。そして、それは人々が自発的に社会に参加するための条件をなしていると説明されます。
ジョン・ロールズの『正義論』は革新的でした
- ロールズの理論を全面的に支持する論者は現在ではほとんどみられないものの、功利主義を乗り越えて一貫した価値の体系を提供したことは非常に重要な取組でした。
- ロールズの『正義論』以降の後期近代では、彼の『正義論』に挑戦しながら、実に様々な思想と哲学が花開き、リベラリズム、リバタリアニズム、マルクス主義にとどまらず、コミュニタリアニズム、シティズンシップ、フェミニズム、多文化主義などの多種多様な言説と思想が展開していきました。繰り返しになりますが、現代を生きる私たちの前には夥しい量の研究成果と多種多様な世界観や理論を手にしています。そのために、特定の問題にさえ、何が「望ましい」のかについての明瞭な答えがなく、雑多な文化・宗教と価値観が共存する社会の真っただ中にいます。
- そして、人類が後期近代において「望ましさ」を探求する旅路は始まったばかりであり、いまだ途上にあり、多種多様な価値観と文化が共存する中で、いかにしてできるだけ多くの人々が幸福に心豊かな毎日を過ごすことができるのかを考える必要があるのです。
これからの世界経済の潮流とリスクシナリオ
『。新成長戦略』によれば、企業には環境・社会・優れたガバナンスを達成し、すべてのステークホルダーへのコミットメントが求められています。SDGsの達成目標も次世代の潮流を推測する参考になります。
COVID19パンデミックによって世界経済は深刻な打撃を受け、経済格差はさらに拡大しました。
私たちの前には依然として明るい未来があり、2021以降の世界経済は回復が見込まれています。
経済回復のスピードは国によって大きく異なり、各国の医療体制、政策、及びワクチンの供給スピードなどに大きく依存しています。
世界ではワクチンの争奪戦が起きており、各国のワクチン接種比率の上昇スピードに大きな格差が見られます
「GreatReset」する世界のこれから
コロナ禍を抜け出し、世界は「Great Reset」していきます
SDGsの目標や『。新成長戦略』は単なる例示(”WHAT”あるいは”HOW”)にすぎません。私たち一人一人が「望ましさ」への問いかけを始めるべきです
価値観の変化を引き起こすマインドパワーこそが現生人類を生きながらえさせた最大でユニークな力です
【参考文献】
- 一般社団法人 日本経済団体連合会 『。新成長戦略』(2020.11)
- International Monetary Fund 『WORLD ECONOMIC OUTLOOK UPDATE』(2020.10、2021.1)
- 盛山和夫 『リベラリズムとは何か ロールズと正義の論理』(2007.11)
- W.キムリッカ 『新版現代政治理論(千葉眞・岡崎晴輝訳)』(2011.5)
- ユヴァル・ノア・ハラリ 『サピエンス全史(柴田裕之訳)』(2016.9)
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