最近コロナ禍の影響もあり、すごく増えている資産運用のはなし、皆さんは何をしていますか?私は最近まで監査法人で働いていたためインサイダー規制の関係上、株式投資が自由にできなかったため、FXをメインにやってみました(その他、コモディティ・貴金属等も少々)。今回はFX完全初心者から初めて約1年間運用した損益をまとめてみようと思います。
決して怪しい勧誘やポジション・トークではありませんので、敢えて使用しているツールの紹介や証券会社の紹介等は一切しませんので、あらかじめご容赦ください。誰からもお金はもらっていません。また、当然に金融庁の許可もありませんし、いまだ自分自身ド素人ですので投資アドバイスなんぞ全くできませんので、それもご了承ください。何より大切な事は、投資は自己責任ということです。
この記事を書こうと思ったきっかけは、FXをはじめ投資関係のブログや動画では中立的な記事がほとんどないという悲しい現実です。そして何とか中立的なポジション・トークでない、生の初心者の声を聴きたいと思い、「FX初心者」というキーワードで検索したときの絶望感でした。FX関係の記事のライターや動画配信者の多くは、証券会社などからお金をもらってコンテンツを制作している人たちなんです。当サイトを立ち上げた想いである、世界の情報のフィルタリングや歪曲に負けず、まともな情報を発信する目標とも通底しています。
全般的には非常に好調な運用成績で、満足のいく結果でした。いろいろと失敗もあり学ぶことも多かったので、その中で試行錯誤しながら構築した私の取引アプローチを概説していきます。皆さんも最近始められたりして、いろいろと迷っている事や不安な事もあるかもしれませんが、何かの参考になればと思います。
運用成績
まずは実績が大事ですので、私の運用成績を以下グラフにしてみました。運用成績は約1年3か月ほどでほぼ+200%(残高3倍増)を達成しています。
2020年3月から口座開設して、直近2021年5月24日現在までの取引残高の推移(全部で2,665件の取引)をグラフにしました。証拠金の入出金が結構あるのでわかりにくいですが、追証をくらって追加入金しなければいけなかったのは、382取引目のみで、他は全て実際の資金需要による自分の他の口座との資金移動です。
口座残高(緑色の線)から証拠金金額(青色の線:入金した元手合計)を差し引いた額が純粋に取引による損益(及びスワップポイント)ですが、見ていただければわかる通り、目立ったドローダウンがあったのは1,900あたりから2,200取引目あたり(2021年4月頃)のみで、それ以外は基本的に増加傾向にありました。
取引結果の分析
ここでは、自分の取引結果を振り返って分析していきたいと思います。一人の初心者トレーダーが、FXのいろはを学んでいった道筋ですので、これから始めようと思われている方は、是非参考にしてください。私の中でこの約1年間は大きく分けて四つの時期に区切ることができると思います。
- レバレッジの恐ろしさと追証の悲しみを学んだ黎明期
- 新興国通貨で一攫千金を狙う
- 損切りを練習するも無残に失敗
- 安定こつこつ取引に(結局これが最強)
1.レバレッジの恐ろしさと追証の悲しみを学んだ黎明期
■自分なりのスタイルの確立
FXを始めた当初は本当に右も左もわからない超初心者で、何を知らないといけないのかもわからないなりに、いろいろと勉強しました。為替の理論的な本を読んだり、YouTube配信者の分析を観たり、様々な証券会社等の記事やメルマガを読んだり、分析ツールを使ってみたり、とにかくいろいろ触れてFXという世界を身近にしました。また、私は走りながら勉強するタイプなので、実際に勉強を始める直前くらいにFX口座を開設し、初めの証拠金を投入し、オーダーを出してみました。
とある専業トレーダーが言っていましたが、初心者が取引を学ぶのに良いアプローチとして、初めのうちは①通貨ペアを限定、かつ②ロングかショートのいずれか一方向に限定する、等で膨大にある選択肢を限定することができ、取引の感覚やイメージをつかみ自分のスタイルを確立していくのに最適とのことでした。実はこの「自分のスタイルを確立すること」が、最初の重要な目標の一つです。よくプロトレーダーの世界では「他人と同じことをするな」と口酸っぱく言われるそうですが、人それぞれ思考のクセがあること、得手不得手の領域がそれぞれ異なるため、ロングが得意な人もいれば、ショーターもいて、スキャルピングがうまい人もいます。いまや世界にはインターネットを通じて膨大な量の情報があふれかえっていて、その一つとってみても、人によって相場への影響の分析結果が異なってきます。人によってトレーディングの時間軸が異なるため、数週間~数か月の長期スパンで考えている人と、数時間~数日で利益をだそうと考えている人では見えてくる景色は全く異なることは容易に想像つくと思います。
なお、自分はたまたまNZに駐在していたこともあり、コロナショック後はNZDが必ず上昇するという強いビジョンがあったため、自然とNZD/JPYのロングに限定されていました。実際にこれのおかげで、FX取引のいろはを学んだと思いますし、いままでの累積でも一番収益を上げたペアはいまだにNZD/JPYです。ちなみに私はポジポジ病には全くなりませんでした。
■取引ルールを学ぶ
また、初めのうちは証拠金のシステムやオーダーシステムなどもちゃんと理解できていなかった(理論的にはわかっていたんですが、身に染みてわかっていなかった)ため、結構恐ろしい思いもしました。そんなことをしている中で、素人が良くやりがちな、恐怖の『追証』をくらってしまいます。
私も出来ていなかった自戒を込めて、本当は超絶当たり前な事なんですが、まず初めに学習するべきは、取引ルールそのものです。特に現代の先進国通貨ではレバレッジをかけないと基本的にお話にならないため、やはりレバレッジをかけるのですが、正しいレバレッジの使い方を学ばないといけません。これは単純な算数の世界なんですが、ヒートアップすると簡単に忘れます。とにかく肝に銘じて徹底すべきことは、証拠金いっぱいにレバレッジをかけて行う取引は何があっても絶対にやらないことです。それはもう投資ではなくただのギャンブルだからです。これを守らないと、いつか必ず追証をくらい、最悪の場合強制退場となり、大変痛い目を見ることになります。そしてその結果、おそらくもう二度とFXをやらなくなってしまうと思います。取引所の取引ルールではなく、自分ルールとして徹底すべきであること、収益を上げる事よりも、市場に生き残ることが何よりも優先すべき重要な目標なのです。
以上をまとめると
- 自分なりの取引スタイルの確立
- 取引ルールを身をもって学ぶ
- 証拠金いっぱいのレバレッジ取引は何があっても絶対にやらない
- 相場に生き残ることが最優先課題
2.新興国通貨で一攫千金を狙う
FXに慣れてくると、先進国通貨のクロス円やドルストレートから、新興国通貨や特殊な通貨ペアなどに目が行くようになります。私も新興国通貨三兄弟の南アランド、トルコリラ、メキシコペソに手を出しました。
これはたまたまですが、自分が観ていたとある動画配信者の方のチャンネルで新興国通貨の買い時が説かれていて、このおかげで最高の成績を上げました。グラフの1,400から1,600取引目付近で急激に残高が伸びているのは、この新興国通貨による取引益のおかげです。
一攫千金といっても当然1.で学んだ通り、証拠金いっぱいに買ったりはもう絶対にしません。それでも新興国通貨はボラティリティが高いため、大きな損益が発生します。直近ではトルコリラが中銀総裁の突然の更迭などにより、大幅な下落(この時はノーポジで命拾いしました)があり、その後も下値をじりじり押し下げてコロナショック時の水準まで迫ろうかとしていますが、やはりそういうショック相場が起こりやすいのが、新興国通貨ですね。
なお、記事を書いている現在ではペソとランドの方は高値圏で推移していて、なかなか買うチャンスがない状況です。ちなみに自分ルールですが、新興国通貨はスワップポイントがエグいので、基本的にショートしません。新興国通貨は買うチャンス(安値)までじっくり待って、しっかり買うのをオススメします。
以上、新興国通貨のポイントをまとめると
- 証拠金いっぱいの取引は絶対にしない
- 基本的にロングのみでショートはしない
- 買うチャンスをじっくり待つ
3.損切りを練習するも無残に失敗
私はこの1年間、「損切り」を一切しない取引スタイルでしたが、それはとてつもなく運が良かっただけだと思いました。さすがに残高も増えてきたので、そろそろリスク管理のために「損切り」を学ぶべき時が来た(!?)と自分では思ったんです。
損切りラインをどう設定するか等、いろいろな投資系の動画やメルマガをみて、証券会社のレポートやコラムなんかでも勉強しました。それで、次のオーダーから損切り・利確も一緒に合わせてオーダーするぞ、とやってみたんです。
ちょうど2021年4月のユーロ円がレンジで変な上下をしていた時期と重なります。単純に私の損切り幅の設定が悪かっただけなんですが、損切り・利確オーダーは悉く失敗し、レンジの往復ビンタをくらい、結果的に実現しなくても良かった大きな損失をたくさん出してしまいました。かなり嫌な思いをしたので、もうたぶん損切りの練習はしません。
むしろリスク管理で学ぶべきは通貨オプションだと思っていて、最近勉強しています。オプション(間違ってもバイナリーオプションじゃありませんよ!まじでしょうもない日本の証券会社に騙されないで!!)については、ちゃんと勉強してからまた改めて記事を書こうと思います。
損切りラインを引かずにヘッジもせずにやっていたら、リスクは無限大じゃないか、とお叱りを受けるかもしれません。取り急ぎ申し入れるとリスクは無限大ではありません。単純に持っているポジションの通貨量と変動率がリスクの総量なわけで、例えば米ドルがゼロ円やマイナス円になる世界は、この先どんなことがあっても、私が生きているうちは絶対にみることはないと思います。さらに時間軸を考慮にいれれば、例えばトヨタが1年以内に倒産する確率は限りなくゼロに近いと思います。法律で自由な殺人や窃盗を認めるような先進国も、私が生きているうちは出てこないでしょう。
実際に社会の変化として「起こりうる範囲」というのは、かなり限定されていて社会科学の世界ではそれを「経路依存性」で説明してみたり、あるいは「可能性の地平」などと呼称するわけです。ちなみに全然関係ありませんが、その経路依存性の縁のギリギリを歩んで社会を変革していくことができるのが、優れた政治家だと言われています(Perヘンリー・キッシンジャー)。
話が逸れましたが、何が言いたいかというと、リスクというのは無限大ではないことと、もう一つ言えるのはどうやってもゼロにすることはできないので、最終的にどこまでのリスクを許容するか、というポリシーの話になります。そして、リスクは発生可能性×影響額なので、例えばですが、米ドルがゼロ円になる確率よりも、自分が突然いま死んでトレーディングができなくなる可能性の方が高いわけで、そんなことを考慮に入れていたら、何もできなくなってしまいます。なので、起こりうる範囲の中で、最悪の事態を考えて想定していくことになるわけです。
さて、リスク無限大とゼロを否定するのにかなり文字数を割いてしまいましたが、そうすると、トレーディングのリスクシナリオはおのずと過去に起きた最悪の事態を分析していくことになります。マーケットでいえば、リーマンショックやコロナショック、アジア通貨危機、さかのぼればオイルショックやブラックマンデーなどもあります。(いちおう、敢えてより保守的なことを言えば、過去のショックや私たちの想像をはるかに超えるようなことも、起こる可能性はもちろんゼロではないので、常に可能な限り保守的なポジションをとることを推奨します。)
つまるところ、いまの自分のリスク管理としては、何かの通貨をロングでエントリーするとき、どんなに暴落しても証拠金を吹っ飛ばすことがない量のトレーディングを基本とする、というのが最大の原則となっているかと思っています。
以上をまとめると
- 大半のトレーダーが提唱している損切りの話は、リスク管理をする上では重要だと認識してはいる
- 利確・損切りラインを学ぶにはコスト大きく、自分はうまくいかなかった
- とはいえリスク管理は必要なので、最低限のリスク管理として証拠金管理(レバレッジ管理)をしている
- リスクヘッジのため通貨オプションを活用しようともくろんでいる
4.安定こつこつ取引に
結局これが一番ですね。
この時期の残高が漸進的に増加しているのがわかると思いますが、毎日こつこつ少しずつ利益を出しています。新興国通貨を長期保有してスワップポイントをもらいながら、日々のトレードでちょっとずつ利益を出しています。
いろいろやりましたが、レバレッジは最低限にし、毎日ちょっとずつ利益を確定していくのが、結局は最強だということに行きつきました。そしてどんな通貨でも、エントリーのタイミングを根気強く待ち、自分のイメージと違う値動きならエントリーしない、あるいはエントリーしてしまったなら、それこそ傷口が小さいうちにすぐに損切りをします。
基本的に損切りをしないスタイルですが、明らかに失敗したと思ったエントリーは損が小さいうちに切るか、同値撤退くらいにはします。早期の損切りに失敗して含み損を抱えてしまったときは、他の取引で出た含み益と相殺して確証的に消去します。なお、損切りをしない、というのは本来的にはあまり良くないと思うので、真似しないでください。
成功と失敗の振り返り
これまでの取引の中で、成功した要因を要約すると、以下になります。そして失敗取引はこれらの全て裏返しでした。
- 根拠の強いエントリーは疑わず、容易に撤退せず継続する
- 根拠の弱いエントリーは、相場の様子を見て否定されたときは迷わず損が小さいうちに撤退する
- 【重要】ポジションは一気に取らず、一気に切らず、徐々に作る(例えば20pips毎に5万ドルとか10万ドルずつなどの指値を入れて)
- 【重要】含み益はこまめに利確し、再エントリーする
- 早期の損切りに失敗した含み損は他の含み益と相殺してゼロ付近になったときにのみ確証的に消去し、ポジションを縮小していく(これを可能にするのが、上記のポジションを一気に取らない戦略)
- ファンダメンタルズの材料があまりないときはエントリーしない
- うまくいかないときは相場からいったん離れる(物理)
私の取引スタイルについて
■スイングトレード×ファンダメンタルズ重視
これも結局後から振り返ってみないとわからないことなのですが、結果的に実は早くから自分の取引スタイルが確立されていました。振り返ってみると、自分が継続的にちゃんと利益を出せていた取引はスイングトレード(1日内で取引を終えるデイトレードよりは長い、数日~数週間を取引単位とする)を中心とした、ファンダメンタルズ重視の戦略でした。
私は為替相場の理論的な仕組み(金利差や資本フローのはなし)を勉強した上で、実際の取引を始めたので、やはりファンダメンタルズ的思考がかなりありました。トレーダーの中には、ファンダメンタルズは市場に瞬時に織り込まれてしまうため、結局テクニカルの方が重要なんだという方もいますが、私はいずれも重要だと思います。
むしろ個人的には、テクニカル分析はあまり論理的でないので好きじゃないというのと、100人がそれぞれ異なる分析(皆が「他人と同じことをするな」と教わるので、歴戦の猛者たちはテクニカル指標のパラメータや使い方を少しずついじっている)を行う中で、経験値の浅い私がテクニカル分析だけで他の人に勝てる気がしなかったため、テクニカルは自分のトレードの中では実はほとんど採用していません。
ちょうどコロナショック期にトレードを始めたこともあり、世界的に歴史上類のない規模での金融緩和が続き、株式市場の急激な下落とV字回復を目の当たりにしました。これらの大きなトレンドについては、実はちゃんと理論的に説明がつくため、相場の方向性や予測をする上では、非常に重要なことだと思っています。この理論的裏付けがあるからこそ、例えば暴落する際の具体的なリスクシナリオ(例えば市場に織り込まれていないテールリスクは、米中戦争勃発、ミャンマーの紛争がベトナム戦争のような事態に発展する、イスラエル・パレスチナが中東戦争に発展する等々)を考えることができて、そういうことがないので、今の落ちはただのテクニカルあるいはアノマリーで、必ずどこかで止まるということが予測できます。
なお、中国の規制やイーロンマスク発言によって暴落した暗号資産は記憶に新しいですが、こうした規制一つで簡単に相場がショックを起こしてしまうのが、暗号資産の弱いところですね。通貨であんなことは政治的な極限状態が起こらない限りは基本的に起こらないのではないかと思います(トルコリラとかは今の情勢から若干怪しいですが、ちょうど今日また副総裁が解任されましたね、、。)。
今後の取引の方向性
最近はコモディティ、貴金属、非鉄金属などの商品や、指標CFDもちょこっと始めてみましたが、1年間FXで慣れてしまった今の自分にとってはこれらの方がギャンブル的で少し怖いです。まあ、偏見でしょうけど。また、足元で大変な大暴落していますが、ビットコイン等の暗号資産はやりません、1日で50%下落とかまじ泡吹いて倒れるわ。
そう、結局どんな投資でもそうですが、最終的に一番重要になってくるのはリスク管理です(会計士なのに金融商品のリスク管理ガバガバとかしゃれにならんw)。これについては、前項の3.でも少し触れた通り、通貨オプション取引の活用を考えています。そのままだとリスクが非常に大きいFX取引を低コストでリスクヘッジするにはオプションが最適ではないかと思っています。今勉強中(金融工学頭痛い、、)ですので、実際に口座開設できて、取引できたらまた改めて記事を書こうと思いますので、乞うご期待です!