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日銀の為替介入と金融政策;この先の日本経済の行方は

日銀の為替介入(2022/9/22)について

日銀砲がついに炸裂しましたが、影響軽微のためただ相場を荒らしただけという噂が、。完全に相場から足元見られています。
そもそも為替介入をする前に中央銀行としてやるべきことがあります。世界が金融引締めに進む中、日銀だけ金融緩和継続しているのが円安の原因なのは明らかなのだからその修正が必要です。
また、介入を流動性の高いロンドン時間にやったのも失敗だと思います。本気で円安沈静化させたいなら流動性の低い時に一気に間髪入れずに投機筋を焼き切るようにやるのが普通だと思うんですが、協調介入でも狙ってたんでしょうか?しかし政策修正しない限り、ECB・FRBは理解してくれないし、まして協調介入なんて望めないでしょう。

しかしこんなに大騒ぎして、週明けすぐに「介入したんだけど、ドル円直ぐ戻っちゃいました」となったらあまりにも恥ずかしいです。本気度が試される一回目の介入でしたが、。このまま終わったら残念です。ただ荒らしただけの介入。

値動きとしては夕方の介入からすぐに半値戻し、その後恐らく夜21時すぎまで介入は続いていたものと思われます。145.90円から140.36円に断続的に急落しましたが、その後反発し現在は142~3円前後をうろうろし、既に焼け石に水感が出ています。ECB・FRBとも協調介入ではないとの声明あり、日銀の単独介入であることがわかりました。すると原資は外貨準備高が上限で、前回介入の規模から推測すると、外貨準備の1割くらい使ってる可能性があります(規模は前回からのただの類推で根拠なし)。

たったコレだけで一割近くも使ったのか!と財務省と日銀の緊張感は計り知れないでしょう。

隘路に立たされる政府・日銀の金融政策について

日銀介入から丸一日以上経過した本日週末は、高値から半値以上戻し、完璧に日々の変動の中に収まっています(下図参照)。まるで意味なし。ボラの高い最近の市場ではこの程度普通に毎日動いています。もはやギャグでやってるんですかね、、?世界中から無意味な介入を痛烈批判されています。財務官の発表では「為替介入の判断の決め手は、円相場の水準そのものではなく値動きの荒さ」といっていますが、自分たちが一番値動きを荒らしています。金融政策を修正しない限りいまの潮流は変わらないし、この先円安はもっと進行します。

むしろトレンドに逆らって、先にやるべきこと(金融政策の修正)を実行せず、上限のある円買いドル売り介入に踏み切った市場への影響は、サマーズ氏のいうように、相場を荒らして短期筋のチャンス作ってるだけの愚行です。

たしかに現状選択肢がほぼなく、政策的な隘路に立たされているのはわかります。政府も政治家も国民も変化による痛みを恐れすぎていて、何もできない袋小路に入り込んでいます。

むしろその意味では、ゾンビ企業を増大し続けてきた日本の長年に渡る大規模金融緩和と、さらにコロナ禍によるその拡大が今の環境を作ってきたわけで、黒田氏の来春退任が迫る今こそ後任人事を本気だして政策を修正するタイミングだと思います。先日TICAD8でも露呈した通り、アフリカでの日本企業の存在感はあまりにも小さく、このままだと日本はアフリカの成長を確実に取りこぼします。グリーンもデジタルも先進主要各国で一番遅れているグループにいます。いい加減に政府も国民も本当の問題に向き合うべきです。こんな環境でイノベーションも経済成長も起こりそうにありません。